東京高等裁判所 昭和36年(ネ)832号 判決
商法第四百三十三条により、特別清算手続に準用される同法第三百八十三条第二項はその規定の字句から見ても特別清算中の会社に対し、その債務の支払を命ずる判決を為すべからずとの趣旨ではなく、その会社に対し債務を支払うべき旨の給付の判決があつてもこの判決に基く強制執行を許さない法意であることは明かである。凡そ判決裁判所は請求の趣旨に掲げられた債権者の債務者に対する権利の存否を判決によつて宣明することがその使命である。従て仮にその判決が執行の段階に於て債務者たる会社が破産、整理、更生又は特別清算等の決定を受け、これがために判決の執行が沮まれる事情の存することが判決裁判所に予想されうるとしても、これらの事情による強制執行不許の処分は飽迄も執行の段階に於ける執行裁判所の処置に委ね、判決裁判所に於て毫もこれを顧慮するところないのは当然のことである。控訴人はかゝる事情が予想される場合は判決裁判所は債権者(被控訴人)に対し債務者(控訴人)に対する債権の存在を確認する程度に止めて右の確認判決をなすべきものであつて、債権の存在を前提とし債務者(控訴人)に対しその支払を命ずる給付判決をすべきではないと主張するが叙上説示に基きその主張の理由のないことは明かである。」果して然らば被控訴人の本訴請求は原審認定の範囲内に於て正当であるから、これを認容すべきものとする。
(谷本 堀田 野本)